ボトリング。 それはウィスキーの第一印象を決める重大な役目を果たす過程だ。
今回、クレア・ライフ・パートナーズ10周年を記念して作られたJURAについてボトリングとその過程を追求していく。
インタビュー
『興味から広がる世界』
オリジナルボトルを作ろうと思ったきっかけを教えてください。
もともと樽を保有しており、交流のあったスコットランドのボトリング会社に「ボトルって作成できますか?」とお聞きしたのが始まりでした。皆さん快く受け入れてくださり、個人単位でもボトリングが可能なことに驚きました。
このボトルはクレア・ライフ・パートナーズ(以下CLP)の設立10周年を記念して作られた物で、10年という経営をしていく中で山場ともいえるこの期間を乗り越え、その喜びを社員そしてお客様と共に分かち合いたい、そんな特別な思いを込めたくて作りました。弊社はウイスキーの樽を自身でお持ち頂けるサービスを運営しているのですが、樽を保有できる魅力の他にも、保有したウイスキーを楽しんでいただくということに、より強い魅力を感じたことも今回ボトリングに繋がったきっかけでもあります。また私自身ウイスキーが好きで自分のオリジナルボトルを持ちたい、作ってみたいという気持ちからスタートしました。
全てが初めてでしたので、まずイメージ通りにボトリングが進むのか、ウイスキーの味は美味しいのか、そんな不安を抱えながら進めました。しかし、協力してくださったスコットランドの方々がとても前向きで、慎重に作業を進めていただいていたので、私達から見てもとても頼もしい存在となり、いつしかその不安も解消されていました。
『こだわりを詰めたボトル』
- 今回作成したオリジナルボトルのこだわりを教えてください。
会社として作る初めてのボトリングと、10年という節目で伝統的な形を使用したく、クラシックなデザインをモチーフにボトル形状を選びました。それに加え、ラベルにも凹凸のある感触にこだわったり、弊社のロゴであるパズルの形を使用したボックス、コーポレートカラーである黄色を基調とした色使いやビジュアルイメージ、バックラベルには弊社のコーポレートメッセージである“Life is fun”という文字も組み込むことを採用しました。ボトルの形からラベルのイメージまで写真を送り、デザイナーさんから案をいくつか頂いた中で決定しましたが、決定するまで計10回以上のミーティングを行ったのもまた思い出です。
CLPと全く同じ事業を行なっている企業がない中only oneという部分に注目し、島に一つしか蒸留所がないジュラ島のジュラ蒸溜所を選び、10年熟成されたウイスキーを選ぶことで意味も込めた、こだわり抜いたボトルになっています。また、ジュラ島が位置している海辺によって塩味がほのかに薫るウイスキーとなっている部分もこだわりですね。
今回ボトリングする際に加水(原酒に水を加えてアルコール濃度を下げる過程)をすることでウイスキーに馴染みがないお客様にも楽しんで頂ける様にしました。本来のウイスキーの色を残しつつ、シングルカスクを使用しているので作成した蒸溜所の特徴がお楽しみ頂けるかと思います。一部のボトルは海底熟成と呼ばれる瓶詰めされていても熟成が可能である熟成方法をしており、これからの熟成も期待できるのもポイントです。
実は今回Special Editionも30本ほど、この会社がスタートした時からいるメンバーや社員に向けて作成しました。味自体は通常版と変わりないのですが、金色と黒色を基調として使用することで少し高級感を持たせたものに仕上げました。
『思いを形に』
- オリジナルボトルを初めて手に取った時の感想を教えてください。
ロシアとウクライナの関係性やウイスキーブームによって半年遅れて入荷できたときは待ちわびれたと感じたと共に嬉しくなりました。また、デザインにCLPのロゴやビジョンがバックラベルに含まれていたりとこだわりが詰まったそのボトルが届いた時には時間と手間がかかった分、とても感動しました。
このボトリングを通して、ウイスキー事業を日本で展開する先駆者として、これからもっとウィスキーの魅力やもっと気軽に楽しんで頂く方法を見つけ出していきたいと、より強く思うきっかけになりました。
- 最後にボトリングの魅力を教えてください。
このボトルが完成した時、協力してくれたスコットランドの代表の方にプレゼントしたら、逆にサインオリジナルボトルを頂き、代表同士のオリジナルボトル交換ができたという私にとってとても心に残る思い出ができました。
ボトリングは、カスタムメイドで自分で作成したというバリュー、そしてお客様やお渡しした相手にも気持ちが伝わるのでギフトにとても向いているサービスだと思います。何より中身を飲み干してもボトルが残るという特徴はその思い出をずっと保管できる、嬉しい気持ちになれると思います。